~ご利用者様との出会いと別れ~
私がこの仕事をやり始めてから18年経ちました。
毎日たくさんの方と出逢い、忘れられない出来事が色々あります。
そんな中で寂しい“お別れ”もたくさん経験してきました。
今年の4月に“お別れ”をしたM様との出会いは、私の人生の中で特に大切なものの1つです。
初めてM様とお会いしたのは13年程前のことです。M様は進行性の病気を患っておられましたが、
当初はお元気で、仕事を続けながら治療をされていました。
歩行器や杖で歩けていたのが、車いすが必要になり、勤務先まで車いすの選定相談にお伺いさせて
頂いたこともあります。車いすに乗ってお仕事を続けておられましたが、それがだんだんと難しくなり
退職されました。それからはベッド上での生活になって、自身では起き上がったり立ち上がったりすることが
難しくなり、車いすに乗り移るための『移乗用リフト』を納品したりもしました。
その後、気管切開をされ、M様とお話しする事が出来なくなってしまい、介護用品の注文やレンタル品の
点検などで私に用事がある時はいつもメールでやり取りをさせて頂くようになりました。
それもM様との思い出の1つです。
そのM様の奥様から『天気のいい日は自宅の庭のテラスに出たいので、オーニング(日よけのテント)の
工事をすることが出来ないか?』とご相談されたのは今年の春のことでした。
『部屋からベッドのままテラスに出て、自宅で外の空気を感じたり、ランチが出来たらいいなぁ』という事からの
ご希望で、もちろんそれを叶えて差し上げたいという気持ちで、オーニング作成のご相談を進めていました。
しかし、着工の段取りが見え始めたある日、突然ケアマネージャー様から『M様がご逝去された』という連絡を
受けました。オーニングが完成したテラスでランチをしたり、お花見をしたいというM様の願いを叶えて
差し上げられることは出来ませんでした。そしてM様のご希望を叶える為の工事でしたので、
この話はもう無いだろうと私は思っていました。しかし奥様から、『オーニング工事をして、完成したテラスを
見る事を楽しみにしていた本人の希望を叶えて欲しい』というお話を頂き、本当に胸が締め付けられる
思いになりました。
そして先日、ご本人様が楽しみにしておられたテラスが完成しました。ご家族様に喜んで頂き、
私も本当にうれしい気持ちでいっぱいでした。M様との出会いがあったことで、福祉用具専門相談員として
様々な経験をさせて頂きました。
この経験を胸に刻み今後も頑張って行きたいと思います。M様、ご家族様本当にありがとうございました。
(営業:荒木)
部屋から見えるテラス
工事をしたオーニング(日よけテント)
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